2008 Fiscal Year Annual Research Report
重症心身障害児療育史研究-重症児キャンペーンとおばこ天使
Project/Area Number |
19530488
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
細渕 富夫 Saitama University, 教育学部, 教授 (10199507)
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Keywords | 重症児 / おばこ天使 / 小林提樹 / 島田療育園 / 心身障害 / 福祉施設 |
Research Abstract |
本研究は重症児の施設療育の初期において、その人手不足を補うために行われた小林提樹らによる重症児キャンペーンの実態及び小林らの尽力により実現した秋田からの看護助手、いわゆる"おばこ天使"の実態を新聞報道及び現地調査により明らかにすることを目的とした。 昭和30年代後半に整備されはじめた重症児施設ではその介護にあたる職員の確保が緊急の課題となっていた。介護職員を確保できないため、入所児を制限せざるを得ない事態も生まれていた。そこで小林提樹は都内マスコミ各社にその実情を訴えることし、啓発パンフレットの作成や施設見学会を行って報道してもらうこととした。当時、新聞による重症児関連記事の連載やテレビ番組などが作られている。評論家の秋山智恵子らはこの時期に小林に誘われ島田療育園を見学している。秋田県からの入所希望に対し、看護助手を確保すれば入所可能と伝えたところ、秋田県児童相談所では秋田魁新報を通じて秋田県内からの施設職員の希望を募った。すると県内女性から多数の応募があり、小林らによる面接選考を経て、昭和40年3月末に第1期"おばこ天使"が東京へ旅立った。 "おばこ天使"の名称は当時秋田魁新報社の記者によって命名されたものである。その後も毎年秋田から島田療育園、秋津療育園に"おばこ天使"が就職していった。昭和50年まで継続し、総人数は約80名となった。まだ詳細は把握できていないが長野、新潟からも看護助手として多くの女性が就職している。このように初期重症児療育における介護問題ではマスコミの重症児キヤンペーンは過酷な施設労働の実態を覆い隠し、女性看護助手を天使として美化する役割を果たしていたと言える
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Research Products
(2 results)