2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530498
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Research Institution | Gifu College of Nursing |
Principal Investigator |
杉野 緑 Gifu College of Nursing, 看護学部, 准教授 (70326106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 昌子 聖隷クリストファー大学, 社会福祉学部, 教授 (50095402)
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Keywords | 社会福祉学 / 貧困 / ワーキングプア |
Research Abstract |
本研究は、日本のワーキングプアの社会的性格を実証的に明らかにし、その性格に即した地域での自立条件を提示するための基礎的研究を行うものである。1990年代からのワーキングプアを生活保護との関係、不安定就業層労働市場、性別、居住条件の4側面から分析し、ワーキングプアの特徴を捉える。 平成21年度は地域における居住条件の側面から研究を行った。具体的には重化学工業都市南部地域に焦点をあて、広く都市現業労働者を対象として地域との関連を検討した。 1. A市南部地域は戦前から工業化が進んだ地域である。そこに住まう現業労働者の生活実態を隣保館利用者・資料およびホームレス調査結果から考察した。その結果、地域には4つの生活実態のありようがあることを捉えることができた。(1)地域に生活基盤を築くことができた人びと、(2)地域での暮らしではあるがアパートなど賃貸住宅に住む人びと、(3)地域に生活基盤を形成できなかった人びとである。さらに(3)はその1社会経済の変化により仕事を失った人びと、すなわち今日のホームレス、その2病気・ケガにより就労できなくなった単身労働者である。4つのありようは固定的ではなく、特に(3)と(3)は隣接し交流している。 2. 工業都市の社会階層の特徴を検討した。その結果、生産労働者が中心であるが、1970年代後半から2000年において常に一定数の生産労働者下層と不安定就労層が存在し、バブル経済時にも減少していなかったことが明らかになった。 3. 地域に生活基盤を形成できる要因 地域に定住した人々とホームレスのライフコースの検討から地域に生活基盤を形成できる要因として(1)仕事と住まい、(2)家族、(3)地域への帰属意識が重要であることを確認した。
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