2008 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャルワーク実践における成年後見制度の有効性に関する理論的研究
Project/Area Number |
19530499
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
岩間 伸之 Osaka City University, 大学院・生活科学研究科, 准教授 (00285298)
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Keywords | ソーシャルワーク / 成年後見制度 / 権利擁護 |
Research Abstract |
本研究は、クライエントの権利擁護を含めたソーシャルワーク実践において、成年後見制度を活用することの有効性の根拠を理論的に明らかにすることを目的としたものである。最終年にあたる今年度は以下の2点に焦点を当てて研究を行った。第一は、民法や成年後見制度に関する文献等を踏まえての後見人による後見事務の特性である。第二は、後見人による後見事務の特性を基盤としたソーシャルワークの機能強化に向けての成年後見制度の活用のあり方である。 研究成果としては、第一に、ソーシャルワークの機能強化に向けた成年後見制度の活用のあり方として、(1)本人の不利益状況が生じることを長期にわたって防ぐための活用、(2)本人の心身や生活状況の変化に迅速かつ具体的に対応するための活用、(3)本人の意向や希望を実現する可能性を広げるための活用、(4)本人を代弁するためのパートナーとしての活用、(5)ソーシャルワーク本来の業務に集中しやすくするための活用、という5つの活用の可能性を仮説として導き出すことができた。 第二は、この5つの活用の可能性を検証するために、5人のソーシャルワーカーに対してヒアリング調査を実施し、ソーシャルワークと成年後見制度の機能・役割についての整理の重要性と成年後見制度を活用したソーシャルワーク実践の実態が明らかにした。さらには成年後見人等と連携・協働することで、本人や家族、地域、支援者に安心感がもたらされること、周囲の意識や態度に変化が生まれること、本人と家族や周囲との関係回復などの効果があることがわかった。ソーシャルワーク実践における成年後見制度の活用における有効性について明確にすることができたものと考える。
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