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2009 Fiscal Year Annual Research Report

アルコール依存症者の「語り」からみた回復過程の質的分析と自助グループの役割

Research Project

Project/Area Number 19530500
Research InstitutionOsaka Prefecture University

Principal Investigator

児島 亜紀子  Osaka Prefecture University, 人間社会学部, 教授 (40298401)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 松田 博幸  大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (30288500)
Keywordsアルコール依存症 / 回復 / スピリチュアリティ / AA
Research Abstract

最終年度では、AAメンバーに実施したインタビュー結果を分析し、(1)回復したメンバーが、AAの活動の鍵概念である「スピリチュアリティ」を自らの回復過程にいかに位置づけ、アルコール依存がもたらすさまざまな生活上の障害と向きあってきたか、(2)AAの思想的基盤ともいえる「スピリチュアリティ」は、当事者が自らの生活困難を克服することにどのように役立っているのか、の2点について検討を加えた。
スピリチュアリティとは、当事者によって「愛」「正義」などとさまざまに表現されるものであり、「ソブラエティ」(飲まない生き方)を可能にする重要な要素である。霊的な変容(他者が自分の思うままにならないこと、しかしながら自分の考え方は自分で変えられることを自覚し、プログラムを実践することでもたらされる、自己と世界の関係性の変容)は、アルコール依存症者が自らの回復過程で明確に意識するものである。当事者の人格のスピリチュアルな変容および成長がなければ「ソブラエティ」に至ることはない。アルコール依存症者は、しばしば強烈な自己愛を有する。彼ら・彼女らは自己を価値あるものと感じ、他者からケアされることを当然に受け入れるが、自ら他者をケアしようとはしない。また、自分を評価しない者・理解しない者に対しては極端にネガティブな感情を持ち、しばしば恨みを募らせる。アルコール依存症者とは、このように過剰な自己を生きるがゆえに、他者との適切な関係を構築することに甚だしい困難を覚える人びとである。他者に対する恨み感情は、容易に飲酒欲求に結びつくため、恨み感情をコントロールすることがAAプログラムでも強調される。AAプログラムはこのほか、「酔い」につながるあらゆる感情をコントロールすることを通し、他者とともに生きていける自己として、アルコール依存症者の世界認識を組み替える。その過程で現れるのが「ハイヤーパワー」であり、ハイヤーパワーがもたらす変化こそが、AAメンバーが語る「スピリチュアリティ」の源泉であるといいうる。

  • Research Products

    (3 results)

All 2010 2009

All Journal Article (2 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] ソーシャルワーク倫理におけるオルタナティヴ:2大規範から文脈、関係、他者に基礎づけられた倫理へ2010

    • Author(s)
      児島亜紀子
    • Journal Title

      社会問題研究 59

      Pages: 7-19

  • [Journal Article] ソーシャルワーカーはセルフヘルプ・グループから何を得ることができるか?:自己エスノグラフィの試み2010

    • Author(s)
      松田博幸
    • Journal Title

      社会問題研究 59

      Pages: 32-43

  • [Presentation] セルフヘルプ・グループの視点から排除とエンパワメントを考える2009

    • Author(s)
      松田博幸
    • Organizer
      日本医療社会福祉学会第19回大会
    • Place of Presentation
      関西学院大学
    • Year and Date
      2009-09-12

URL: 

Published: 2011-06-16   Modified: 2016-04-21  

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