2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530501
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
大谷 昭 Osaka Prefecture University, 看護学部, 教授 (30152169)
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Keywords | 高齢者虐待防止 / ケア・マネジャー / 介護支援専門員 |
Research Abstract |
平成19年12月に大阪介護支援専門員協会の会員1200名を対象として、「高齢者虐待防止に対するケア・マネジャーの認識に関する調査」を自記式郵送法で行い、380名(回収率31、7%)の回答を得た。調査内容は高齢者虐待事例を経験しているケア・、マネジャーおよび地域包括支援センターの高齢者虐待事例対応者(社会福祉士、主任ケア・マネジャー)に対するグループインタビューの結果および文献・資料を参考に、ケア・マネジャーとしての基本項目、経験した高齢者虐待事例、高齢者虐待に関する知識、高齢者虐待の原因に関する認識、高齢者虐待事例の困難さについての認識、ケア・マネジャーの高齢者虐待防止への役割に関する認識についてであった。 結果は過去に虐待事例を経験した者が248名(65.3%)であり、類似の調査と比較するときわめて高い割合を示した。回答者の45%がケア・マネジャー経験が5年以上であり、ほぼ60%が常勤専従であることもあわせると回答者はケア・マネジャーの中でも経験もあり、虐待に関する意識も高い層であることが推測された。高齢者虐待の原因としては「介護者の介護疲れ」「虐待者と被虐待者の人間関係」と認識しており、「高齢者の身体的自立度」「高齢者の排泄困難」が原因とはそれほどとらえていなかった。高齢者虐待防止事例の取り扱いが困難なのは「家族関係に介入することの困難なさ」や「介入拒否」であり、「ケア・マネジャーの役割の不明確さ」や「権限が十分でない」とは考えていなかった。高齢者虐待防止へのケア・マネジャーの役割としては「発見した虐待事例の関連機関への通報・相談」「介護者へのストレス軽減」と認識しているものの割合が高く、「分離された虐待者へのフォロー」「地域ネットワークの構築」は低かった。 これらの結果からケア・マネジャーは高齢者虐待防止に関して、高齢者と介護者の関係に介入し、介護者の軽減を図ることに主要な役割を見出し、対応の困難もそれに関連していることが明らかになった。
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