2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530501
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
大谷 昭 Osaka Prefecture University, 看護学部, 教授 (30152169)
|
Keywords | 高齢者虐待防止 / ケアマネジャー / 主任ケアマネジャー / 地域包括支援センター |
Research Abstract |
平成19年度に高齢者虐待防止に関するケアマネジャーへの調査から明らかになったケアマネジャーの役割を遂行するための条件に関して、居宅事業所のケアマネジャーと地域包括支援センターの主任ケアマネジャー計10名にインタビュー調査を行い、質的分析を行った。ケアマネジャーへのインタビューからはケアマネジャーは「寄り添い続ける姿勢」を基本に虐待事例に関わることを責務として考えてはいるが思うように関わることができない要因も挙げられている。「虐待事例に関わることへの足枷」として時間的、労力的余裕がなく、虐待事例に関わることが制度的に評価されていない。また、虐待事例を発見したとしても、「問題化することへの逡巡」や「通報することで関係が失われることへの懸念」から「通報への躊躇」がある。そのためにケアマネジャーの「結果として抱え込み」も生ずる。円滑に通報がなされるには所属する事業所にサポート体制があることや現在不信感がある地域包括支援センターとの信頼関係が気づかれることが必要である。主任ケアマネジャーへのインタビューではケアマネジャーが高齢者虐待事例に関わるのには「気の毒な仕事環境」として、十分な環境条件が整っていないと認識している。一方ケアマネジャーの質に差があり、虐待への意識が低いケアマネジャーや虐待事例を抱え込むケアマネジャーが存在し、居宅のケアマネジャーと地域包括支援センターの間に溝があると認識している。地域包括支援センターとケアマネジャーの連携を作るためには地域包括支援センターの方からケアマネジャーに近づき、ケアマネジャーの立場を理解し、ひとり一人のケアマネジャーに合わせた連携作りが必要としている。高齢者虐待防止にケアマネジャーが必要な役割を果たすには関わるための環境の整備と地域包括支援センターとの連携体制が必要である。
|