2008 Fiscal Year Annual Research Report
養護型不登校経験者の社会的自立促進要因に関する研究
Project/Area Number |
19530502
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
西原 尚之 Fukuoka Prefectural University, 人間社会学部, 准教授 (50316163)
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Keywords | 不登校 / 貧困 / フリースクール / 学力不振 / 生活保護 / 社会的自立 |
Research Abstract |
本研究は養護型不登校(経済的不利と学力不振を伴う不登校)を経験している子どもたちが社会で白立していくための要因や課題を明確にすることを目的としている。そのため生活保護率が全国の10倍を超えるA町で活動を行っているフリースクール(Bスクール)の卒業生69人に対するフォローアップ調査を実施した。調査方法は(1)69名の指導記録、Bスクールスタッフへの聞き取り(2)このうち21名に対するインタビュー調査である。対象ケースの家庭は生活保護世帯58%、厳しい家計が12%、標準26%、裕福4%であった。学力は「標準を大きく下回る」が28%、「標準以下」が41%であり、生活保護世帯は有意に学力が低下するという相関性が認められた。中学卒業時点での進路は高等学校(特殊学校を含む)が51%であるが常勤就職0%、アルバイト3%、無職29%と厳しい結果になっている。進学も普通高校は3割以下である。学歴が確定している44名を調べると中卒(高校中退含む)70%が(うち生保受給率75%)、高卒25%(同55%)、大卒5%(同0%)で学歴が低いほど生活保護受給者の割合が高くなっていた。在学者、不明を除いた就労状況は無職36%、パート22%、準常勤17%、常勤11%、施設入所8%、専業主婦6%であった。Bスクール通級中に生活保護を受給していた40名のうち調査時点でも受給中の者は18名であった。このうち9名は学校に行かず定職がなかった。この9名をBスクール通級中には生活保護を受給していたが調査時点で経済的に自立していた群とインタビュー調査による質的分析によって比較した。その結果前者は後者に比べ生活技能における困難、ソーシャルサポートネットワークから疎外されている傾向があった。
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