2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530504
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Research Institution | Oita University of Nursing and Health Sciences |
Principal Investigator |
平野 亙 Oita University of Nursing and Health Sciences, 看護学部, 准教授 (10199086)
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Keywords | 社会福祉関連 / 広汎性発達障害 / 生活障害 / 自閉症 / 評価尺度 / 支援ニーズ / 発達障がい者支援センター / 自閉症児者施設 |
Research Abstract |
自閉症などの広汎性発達障害(PDD)は、発現する障がいの個別性が高く、障がい程度を定性的・定量的に評価することは困難であるが、日常的な支援や自立へ向けた支援のためには、PDD児・者の生活場面における生きにくさ(生活障害)を適切に評価する必要がある。平成19年度の本研究において、自閉症者療育施設に入所する成人男性15名を対象とする観察調査および支援担当職貝3名からの聞き取り調査を実施した結果、既存の評価尺度に基づく足型的評価に加えて、ケアマネジメントの観点に基づく個則的な支援ニーズの評価方法が必要であることが示唆された。この結果を受けて、平成20年度は当初、SIS(Supports Intensity Scale)やICFを参照し、年代別評価尺度を試作する予定であったが、SISの尺度構成が複雑で使用に習熟を要すること、ICFは分類・記述の指標で現状ではニーズ評価に不向きであること、またPDD児者の支援を行っている機関・施設の支援ニーズ把握方法の実態が不明であることから、評価尺度の構成要件を検討するために、実際のニーズ評価とくに支援者との関係性に配慮した評価の実態と、既存尺度に関する経験知を集約する必要があると判断した。そのため全国の発達障害者支援センター(以下センター)および全国自閉症施設協議会加盟施設(以下自閉症施設)へ調査票を郵送し、実態調査を実施した。 有効回収率は、センター43.5%(69施設中30施設)、自閉症施設27.8%(54施設中15施設)であった。障害判定のために、PEP-R, AAPEP, WISC-III, WISE-IIIが広く便用され一部施設ではPARSも使用していた。支援ニーズに関しは面接・聞き取りを心にケース会議等で判定を行っており、複数め尺度による障害判定と(個別的な情報の組み合わせでニーズ判定が行われている現状が示された。「障害程度区分」に対して発達障害特有の障がいを評価できないとの意見が多く、PARS、ICFについても改善すべき点が指摘された。「関係性」を適切に評価できる既存尺度はなく、ケース会議による評価が不可欠であるごとが示唆された。調査票への回答および送付いただいた独自尺度を参照して、支援ニーズ尺度に必要な構成要件を抽出した。
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