2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530507
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Research Institution | Aomori University |
Principal Investigator |
渡部 諭 Aomori University, 社会学部, 教授 (40240486)
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Keywords | 高齢者 / 意思決定 / QOL |
Research Abstract |
大学生を対象にしたフレーミング効果の実験結果と異なり、われわれが以前行なった研究では、高齢者ではポジティブ、ネガティブ両フレームにおいてリスクを避ける反応が一貫して見られた。そこで本研究では、高齢者のフレーミング効果に影響を与えていると思われる要因として半球優位性を仮定して実験を行なった。また、半球優位性とQOLとの関係についても分析を行った。 QOLと半球優位性との関係については、若年者群のデータ分析が終了している。左脳機能はほとんどのQOLサブスケールとの相関は有意であった(特にQOL総得点との相関は.391であった)にも関わらず、右脳機能はどのQOLサブスケールとも全く有意な相関を示さなかった。右脳・左脳機能と自己効力感との関係においては、「行動の積極性」と「能力の評価」に対しては右脳機能,左脳機能共に統計学的に有意な相関を示した。しかし、「失敗に対する不安」とは有意な相関は観察されなかった。 本研究において得られたデータは、左脳機能はQOL、幸福感、自己効力などと関連性が高く、「より良い意志決定」であることを支持する結果をもたらした。 右脳・左脳の機能は一般的に「人生の成功」や「学業成績の向上」と関連するといわれてきたが、本研究において高齢者の幸福感を学術的に研究していく上でも重要な構成概念であると結論された。
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