2009 Fiscal Year Annual Research Report
福祉サービス利用契約における支援プロセスに関する研究
Project/Area Number |
19530512
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
岩崎 香 Waseda University, 人間科学学術院, 准教授 (20365563)
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Keywords | ソーシャルワーク / 権利擁護 / 支援プロセス / 障害者 |
Research Abstract |
社会福祉基礎構造改革は措置から契約へと,これまでの福祉のサービス供給システムに大きな転換をもたらした。法・制度の改変から,サービス受給者の権利と責任が明確化されたことにより,判断能力の不充分な人たちの「自己決定」の重要性が注目を集めているのである。本研究は,意思決定において権利の侵害を受けてきた長い歴史をもつ精神障害者支援を中核にしながら,ソーシャルワーカーの「権利擁護」に関する機能や役割を明確化させ、「自己決定支援」の実践モデル構築を通して,その実践プロセスを提示できることを目的とするものである。 今年度はフィールドを異にするソーシャルワーカー(9グループ:51名)の複合分析を行い、これまで抽出した7つのSW機能(アセスメント,情報提供,調整,代弁・代行,教育・啓発,ネットワーキング、ソーシャルアクション)を明確化した。その結果に対して、障害当事者によるグループインタビュー(3グループ:17名)を実施することで、更なる分析と評価を加えた。精査した結果として、ソーシャルワーク実践におけるクライエントとの相互作用プロセスと、動的な過程にある7つのSW機能とがエンパワメントによって循環する実践モデルを提示した。 つまり、SWのアセスメント機能は人権を擁護する入り口の機能として位置付けられ、決定に不可欠な情報提供は支援プロセス全体にわたって、必要に応じて行われる。アセスメントを起点に、ミクロな機能(主として調整、代弁・代行)とマクロな機能(主にネットワーキング、ソーシャルアクション)が発揮されるわけであるが、その双方を取り結び、人々の意識変革や当事者のセルフ・アドボカシーの実現に働きかける教育・啓発機能が働くことによって、ミクロとマクロの機能が循環し、SWの人権を擁護する実践プロセスが展開されると考えられるのである。
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