2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530514
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
宮本 悟 Chuo University, 経済学部, 准教授 (70352846)
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Keywords | 家族手当 / 児童手当 / 社会保障 / フランス / 少子化 |
Research Abstract |
本年度は、フランスにおける近年の家族給付改革のうち、とりわけ乳幼児受入れ給付(PAJE)が導入された2003年改革を取り上げ、その社会的影響について検討・分析することを課題とした。5つの諸手当から成るPAJEの導入が社会にもたらした様々な影響の中で、われわれが特に注目すべき点は2つある。 第1は、第1子の育児環境について改善が図られた点である。具体的には、子供の誕生を控えている間に一時金として出生・養子縁組手当金が支給されることや、就業自由選択補足手当(CLCA)の適用対象に第1子が含まれていることで、最初の子供を産み育てる際の経済的不安がいっそう軽減された。 第2は、認定保育ママの利用がさらに広まった点である。1990年に認定保育ママ雇用家庭補助(AFEAMA)が創設されて以来、認定保育ママと雇用契約を結ぶ親は急速に増加していたが、2004年にPAJEの一環である保育方法自由選択補足手当(CLCMG)へ引き継がれてからも所得要件の緩和と給付額の引き上げにより認定保育ママの利用はさらに拡大することとなった。具体的な数値を示すならば、1990年に親と直接雇用契約を結んでいた認定保育ママは約7万人いたが、それが2000年には23万2000人、2005年には26万4000人へと増えているのである。 今年度の主要な研究成果は、『経済学論纂』(中央大学)および佐藤清編著『フランス-経済・社会・文化の諸相-』所収の拙稿に取りまとめられている。
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[Journal Article]2010
Author(s)
佐藤清(編著)
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Journal Title
フランス―経済・社会・文化の諸相―(中央大学出版部) (掲載決定印刷中)
Pages: 第6章担当;141-162