2009 Fiscal Year Annual Research Report
日英ホームレス生活者の自立過程の比較による「生活資本」形成に関する研究
Project/Area Number |
19530523
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
岡本 祥浩 Chukyo University, 総合政策学部, 教授 (70211810)
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Keywords | ホームレス / イギリス / 生活資本 / 自立過程 |
Research Abstract |
ホームレス生活者は生活を支える仕組みや条件である「生活資本」を完全に失っているが、日英ともに頻繁な転居を伴う不安定な住居が大きな影響を与えている。特に、イキリスでは不安定な家族、親族、近隣、友人との人間関係の崩壊が、日本では就労という経済的条件の喪失によってホームレス状態に陥ることが多い。 ホームレス状態から安定した暮らしを実現する「生活資本」の構築には、安定した住居が必要であるが、一足飛びに「恒久的な住居」の獲得は、日英ともに困難である。一時的な住居を経ることが一般的である。しかしながらその経路は様々で施設や住居を転居する場合、施設から住居に転居する場合などがある。しかし、いずれの場合にも「生活資本」の構築をスムーズにさせる触媒となる役割(人)が必要である。日英ともにホームレス状態から「恒久的な住居」への移行段階で、イギリスでは「B&B」など、日本では「無料低額宿泊所」などの問題が顕在化してきたが、イギリスでは問題が収束方向に向かい、日本では問題の解決方向が見えていない。それは移行段階での「生活資本」構築の支援の程度の差にあるといえよう。 ホームレス生活者の「生活資本」の構築は、「恒久的な住居」を中心に生活を支える言わば公式な活動としての就労、教育、医療、生活支援などの福祉が一体となることであるが、ホームレス生活者の家族、親族、友人、近隣住民などとの非公式な間関係の構築も重要である。イギリスでは非公式な人間関係の構築に向けて、クラブ、教会、ボランティア活動、社会教育、様々な社会集団などの活用が提起されている。日本においても様々な団体がホームレス生活者支援のために様々な活動を行っているが、「生活資本」を構築していくためにホームレス生活者一人ひとりに寄り添った人的な支援をホームレス生活者の生活支援の構築に組み込む必要がある。
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