2009 Fiscal Year Annual Research Report
関係性としての「文化」:多様な集合体における文化形成・変容過程の研究
Project/Area Number |
19530556
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
村本 由紀子 Yokohama National University, 国際社会科学研究科, 准教授 (00303793)
|
Keywords | 関係性 / 集合体 |
Research Abstract |
本研究は、現実社会の多彩な集合体における成員の間でかたちづくられる種々の関係性のありようと、その維持・変容プロセスに着目することを通じて、集合体における関係性の束(集積)として「文化」を再定式化することを試みるものである。平成21年度は、自尊心の維持・高揚に際して他者との関係性がどのような役割を果たすか、またそれが文化によっていかに異なっているかを検討した。具体的には、Muramoto(2003)が日本人大学生を対象として実施した達成原因帰属に関わる研究をベースとして新たに作成した質問紙を用いて、日本とアメリカにおいてデータ収集を行った。その結果、日本人参加者は自らの成功・失敗経験について自己卑下的な原因帰属を行う一方で、身近な重要他者の目には成功の原因が自分の能力や努力にあると映っていると考える傾向があり、そのような他者から得られる好意的な帰属への予期が、自尊心の高揚とポジティブに関連していた。アメリカ人の参加者は自ら自己高揚的な帰属を行うと同時に、他者からの好意的な帰属も期待する傾向があったが、その対象となる他者は身近な人物のみならず、初対面の人をも含んでいた。さらにアメリカ人参加者の場合、他者から得られる好意的な帰属への予期は、自尊心の高揚と有意な関連をもっていなかった。一連の結果は関係性の中での自尊心の維持・高揚のシステムに文化差があることを示唆するものとして解釈され、ホノルルで行われたInternational Academy of Intercultural Researchの年次大会において発表された。また、職場での関係性と公正さの知覚に関する日本・韓国・香港の国際比較調査の成果をまとめた論文(Dr.Tae-Yeol Kimらとの共同研究)が、Management and Organization Reviewに掲載されることが決定した。
|
Research Products
(4 results)