Research Abstract |
本年は,農村部(群馬県吾妻郡嬬恋村)在住の中高年者を対象に大規模調査を行い,孤独死リスク下におけるサポート探索行動の特徴を検討した.得られた結果(1.独居者は非独居者と比べて,自宅で急な病気や事故に見舞われたときに,別居家族を頼りにする傾向が低く,代わりに友人・知人やフォーマルなサポーターを頼りにするか,頼りになる人のいない者が多い,2.独居男性は,独居女性に比べて「友人・知人」を頼りにする傾向が強い,など)は学会で発表した.また,都市部(千葉県松戸市常盤平団地)での調査も,前年に引き続いて行った.すなわち,本地域の孤独死予防への新しい取り組み(「生き生きサロン」の運営)に焦点を当てて,サロンの利用者や運営スタッフへのインタビューにより,事業の現状をまとめ,雑誌論文の形で公表した.さらに本年は,全国の地方自治体に郵送調査を行い,孤独死発生状況や発生予防のための地域の取り組みを検討した.これにより,1.孤独死発生状況の実態把握が不十分な自治体が多いこと,2.実行中の孤独死予防対策は「巡回・訪問などによる声かけや見守り」が最も多いこと,3.この見守り活動は,福祉事務所・社会福祉協議会などの行政関連機関,自治会・ボランティアなどの民間組織,食事・飲料配達などの訪問サービス業者など,多様な担い手により行われていること,などが明らかとなった.この結果は,回答の得られた自治体にフィードバックした.また,来年度以降に,内外の学会や雑誌論文で発表する予定である.最後に本年は,関連研究として,地域(愛知県豊田市)在住高齢者に運動プログラムを提供し,心身機能の改善効果を検討した結果を,海外の学術雑誌に発表した.
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