Research Abstract |
本年度は,文献調査を行うとともに,5つの介護保険施設を訪問し,インタビュー調査を行った。また,生活介護研究所長代表の坂本宗久氏にインタビューを行った。介護保険施設でのインタビューは,施設長と生活相談員・施設介護支援専門員および介護職員2人〜4人に行った。前者への主たる質問は,ユニット・ケア導入の動機・目的,あるいは,従来型にこだわる理由,チームのありかたについて,チームへの権限委譲の程度,意思決定のルートおよびフォーマルコミュニケーションのルート,組織構造,人事制度,ケアの質の関する現状認識,メンバーの組織行動・態度(職務満足,動機づけなど)の問題,チームワークの効果と問題などについてであった。後者への主たる質問は,チーム内のコミュニケーションで困難なこと,うまくいっていること,リーダーの役割と機能,自由裁量(自律性)の程度,職務満足,動機づけなどの問題,チームワークの効果と問題,コミュニケーション・情報伝達の過不足の問題,不公正や不公平だとう思いがあるとすればどんなことか,ユニットケア導入前後の仕事への取り組みやケアの質の変化,バーンアウト状況などである。坂本氏からは,ユニットケアにおける問題点や利点を詳細に伺い,チームの自律性とリーダーの役割の重要性を再確認できた。 これらのインタビュー調査を通して,ユニットケアと従来型の利点と欠点,リーダーシップの機能(ファシリテーションスキルなど),チーム内のメンバー関係(協力,サポート,信頼など),組織公正(対人・情報公正とvoice)とそれによる公正感認知,そして,評価のあり方がケアの質に関係があるという理論モデル(仮説)を演繹できた。それに基づき,質問票を作成し,2年目の量的調査の準備を行った。
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