2008 Fiscal Year Annual Research Report
介護保険施設でのケアの質を高めるチーム・コミュニケーションと組織公正感
Project/Area Number |
19530567
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
山口 生史 Meiji University, 情報コミュニケーション学部, 教授 (50257127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 麻衣 ルーテル学院大学, 総合人間学部, 専任講師 (30425342)
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Keywords | ワークチーム / ケアワーカーのQWL / ケアの質 / (組織)コミュニケーション / 組織公正 / 自律性 / リーダーシップ / Voice(意見表明の機会) |
Research Abstract |
本研究チームは、介護保険施設における介護職員の労働生活の質(Quality of Working Life=QWL)向上がケアの質を高めるだろうと考え、彼らのQWLに影響を与える要因を探った。その要因とは介護職員のチームの機能とそれを機能させるチーム・コミュニケーションである。そして、組織やチームに対して知覚するチームメンバーの公正感である。組織公正感は、組織コミュニケーションにも関連する概念であると同時に組織メンバーのQWLに影響を与える要因でもある。このプロジェクトで、われわれはインタビュー調査と質問票調査の両方を行った。1年目は、文献調査とともに、A県4施設のほかに、県外1施設で、インタビュー調査を行った。このインタビュー調査で多くの有益な情報を得ることができた。そのデータを分析し、2年目の質問票調査でどのようなことを質問すればいいのかが明確になった。質問票調査は、A県にフィールドを絞り、質問票をA県老人福祉施設協議会に所属している全100施設に、生活相談員・施設介護支援専門員用(1部ずつ)と介護職員用(10部ずつ)を配布した。生活相談員・施設介護支援専門員用質問票に関しては、61名から回答を得た(回収率61%)。また、介護職員からは、538名から回答があった(回収率53.8%)。多くの発見があったが、一部のみ提示する。チームの自律性に関しては、介護施設のワークチームは現場の業務に関してはかなりの裁量権が与えられていたが、組織運営にかかわる意思決定に関してはほとんど与えられていないことやワーカーのQWLにリーダーシップが重要であることがわかった。また、従来型構造チームの場合は、自律性の程度が直接ワーカーのQWL(i.e.,コミットメント・OCB)に関係しているが、組織公正感を得ると自律性の影響がより強くなることがわかった。一方、ユニット型チームの場合は、チームに自律性を与えることでVoice(意見表明の機会)および組織公正感が促進しなければ、ワーカーのQWLは向上しないことがわかった。
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