2007 Fiscal Year Annual Research Report
スティグマ化されたリスクの知覚:感情と公正のヒューリスティックモデル
Project/Area Number |
19530570
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Research Institution | Koshien University |
Principal Investigator |
竹西 亜古 Koshien University, 人文学部, 准教授 (20289010)
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Keywords | 社会系心理学 / リスク知覚 / 感情 / 心理的公正 / ヒューリスティック |
Research Abstract |
スティグマ化されたリスクの知覚に関する心的過程モデルの解明を目的とした本研究では、初年度に当たる平成19年度を、モデル化にあたっての基礎データ収集と実験プログラムの開発に当てた。まず、スティグマ化されたリスクの例として、原発および原子力を取り上げ、中学生以下の子供を待つ母親1461人のデータをWeb調査で収集した。対象者には、原発から連想する言葉、原子力から連想する言葉を、肯定・否定の両方にわたって提示し、どの程度連想するかを5階段評価で求めた。得られたデータを、探索的因子分析(最尤法プロマックス回転)により解析した結果、これらの言葉から連想されるイメージには「負の副産物」「爆弾」「エコロジー」の3因子があることが示された。前者2因子は否定的連想、残る1因子は肯定的連想である。 スティグマ化されたリスクにおいて、肯定・否定両方の連想イメージのあることが示されたため、これらのイメージを含む刺激語を用い、IAT(Implicit Association Test)を応用したリスク知覚の反応潜時測定プログラムの開発に取り上げ、言語的刺激に加えて、視覚的刺激(写真)を用いて予備的実験を重ねた。さらに、プログラムおよび測度の妥当性を検討するため、リスク知覚とは別のステレオタイプ反応を対象とした予備実験を行った。その結果、いずれの場合も反応潜時が平均500-700msとなり、過去研究とほぼ同様の値が得られた。このことから、スティグマ化されたりリスク知覚の検討において、IATの応用が有効であることが示された。研究2年目にあたる平成20年度では、開発されたプログラムを用いて本実験を行い、リスクのスティグマ化における連想イメージの機能を明らかにする。
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