2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530574
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 道代 Tohoku University, 大学院・教育学研究科, 准教授 (60312526)
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Keywords | 成人女性 / 子育て支援 / 一時預かり / 世代性 / 生涯発達 |
Research Abstract |
1) 一時預かりを行うボランティア団体への参与観察を継続した。その結果一時預かりの場において、母親役割の先輩にあたる女性スタッフの視線は、(1)預かる子どもに対しては「共感・気遣い」「教え・しつけ」「違和感」、(2)利用者の母親に対しては「共感・気遣い」「励まし・労い」「自己開示」「違和感・抵抗感」としてとらえられた。(3)自分の子育て体験は、預かり行動に活かされる満足感ばかりではなく、活かされない違和感や抵抗感となる場合もある。その際、スタッフは「昔(自分の子育て・自分の時代)」と「今(預ける母親の子育て・今の時代)」を対比して語り、それを契機としてこれまでの自分や現在の親子関係をとらえなおすことがあった。(4)一時預かりの場は、自分の子育てでは叶えられなかった心残りを充足させたり、自分の子どもが成長したために叶えられなくなった世話行動等を充足させる側面をもっていた。総じて子育てにひと段落した女性が子育て中の母親への支援として乳幼児を預かる行動は、自ら子育てにより獲得してきた個体性としての世代性のさらなる展開であるとともに、下の世代との関係性に基づく世代性の伝播としてとらえることができるのではないかと考えられた。2) 祖母が孫を育てる孫育てに着目し自由記述を含む質問紙調査を行った。その結果「年をとることはよいこと」、「年をとってもこれまでと同様にいろんなことができる」と思う女性(40〜70代)はそうでない女性よりも、孫とのかかわりや子ども夫婦に対する支援に満足していたことから、自分の加齢の受容と次世代へのかかわりや援助行為との関連が認められた。また孫には「しつけ」「人間像」「人生観」「家族の愛情」「命・死生観」を教え伝えたいと考えていた。3) これらの結果を踏まえて面接調査を行い、ポスト子育て期の成人女性の世代性について事例により詳細に検討していく。
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