2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530574
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 道代 Tohoku University, 大学院・教育学研究科, 准教授 (60312526)
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Keywords | 中年期女性 / 世代性 / 一時預かり / 被援助性 / 支援者の発達 |
Research Abstract |
(1)一時預かりが支援者に与える影響を面接調査により検討した。(1)乳幼児の世話や母親理解への自負、子育てひと段落後の「何かしたい」という活動動機は、自分本位な預け方に直面すると、母親への励ましがより教育的配慮を含むようになった。(2)第三者的な視点により、余裕ある対応ができること、(3)現役として必要とされる自分という認識、(4)生活の張りを感じる一方、(5)過去の子育てに心残りを感じた。(6)得られたスキルや知識は、成長したわが子や嫁の子育てに役立てられた。(2)世代性を構成する創造性、世話、世代継承性の3側面と、被援助性の関連を検討した結果、他者に対して働きかける世話意識と、他者の力を借りる被援助性意識には中程度の正の相関があり、世代性は一方向的なケアではなく「援助⇔被援助」関係としてとらえられた。配偶者や子どもの存在と世話および被援助性、社会活動と創造性および世代継承性、また地域帰属感と世代継承性の関連も認められ、世代性は多様な社会的役割やライフスタイルによる生き方を踏まえた発達概念と考え得る。(3)一時預かり経験有と無の母親に、生活時間、利用の躊躇、育児ストレス、利用後の自分や周囲の認識変化を尋ねた。日中母子だけで過ごす時間の長さとストレスに有意な関連は認めないが、子どもの反応を理由に躊躇する度合いが高い群は低い群よりもストレスが有意に高かった。経験群も最初に預けた時には未経験群と同様の躊躇を感じたが、9割は利用時のことを夫によく話しており、一時預かりに対するイメージや日常育児の意識、身近な人たちの一時預かりに対する反応も利用後に肯定的に変化していた。(4)以上の結果を総合して、一時預かりにみられる「支援-被支援」関係と両者への効果をまとめた。特に、成人期中期において自らの子育てをとらえ直し、人生における現在と今後の立ち位置に気づいた支援者としての発達に関して、エリクソンの世代性の概念を背景に議論された。
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Research Products
(4 results)