2008 Fiscal Year Annual Research Report
中学生・高校生の文字式に関する知識構造の解析と文字式初習・補習用教材の開発
Project/Area Number |
19530576
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小野寺 淑行 Tohoku University, 大学院・教育学研究科, 教授 (30109623)
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Keywords | 文字式 / 高校生 / つまずき / 補習教材 / 具体化 / 学習支援 |
Research Abstract |
「奇数と奇数の和は偶数である」ことを証明する際に不適切な(一般性を欠く)文字式を構成してしまう中学生、高校生のための補習教材の候補として、2種類の異なる具体物の個数(奇数個)の和に関する証明問題(具体化された類題)を考案し、それを解く経験の効果を、高校1年生を対象とした事前テスト-処遇-事後テスト型の実験の結果を分析して検討した。その結果として、この類題の解決時(処遇時)には適切な文字式表現が一定程度増加し、それは概ね事後テストにおいても維持されること、しかしながら、一部の生徒ではこの処遇の効果が事後テスト時には消失してしまうこと、を確認した。(この成果ついては平成20年度に雑誌論文として公表した。) さらに、上述の具体化された類題を解くことの効果が持続するための条件を、別の高校1年生を対象とした実験、さらに第三の高校1年生、および専門学校1年生を対象とした簡易な調査の結果を分析して探索した。具体化された類題の解決の際の文字使用(2奇数を異なる2文字を用いて表現する)の根拠を、適切に理解しておくことの必要性が示唆された。(この成果については、平成21年中に論文として公表する予定である。) 本研究により、抽象的内容の学習が、それを具体化した教材の活用により促進されうる、という一般的な学習の原理が、中学校レベルの文字式学習にもあてはまるものであること、また、この促進効果の持続には、満たされるべき一定の条件があることが明らかになり、文字式学習でつまずく中学生、高校生への支援方法の開発にとって重要な示唆が得られた。
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