2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530582
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
首藤 敏元 Saitama University, 教育学部, 教授 (30187504)
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Keywords | 道徳発達 / 社会的領域理論 / 自愛の思慮 / 社会的情報処理 / 親子関係 / 道徳的判断 / 個人道徳 |
Research Abstract |
本研究は「自愛の思慮(prudential)」が社会道徳的ジレンマ場面でどのように出現し,判断と行動決定といかに関連するかを明らかにすることを目的とする。「自愛の思慮」とは自分の行動が直接的,間接的にブラス(マイナス)の結果になって自分に戻ってくることを予期する認知であり,社会的領域理論(social domain theory)における個人領域(personal domain)の機能のひとつである。研究1:子どもの社会的逸脱行動に対する親の社会道徳的情報処理目的;子どもの道徳発達にとっての主要な環境として,親の社会的情報処理を取り上げ,「自愛の思慮」と関連した解釈が親の情報処理にどの程度認められるかを検討した。方法:幼児の親248名に6種類の子どもの逸脱場面を提示し,かかわり方の内容と強さ,その理由を質問した。.結果と考察:親による場面の解釈は,子どもの逸脱の性質(道徳,慣習)に応じて変化するものの,複数の領域概念を反映していることが示された。子ども自身への影響を考える「自愛の思慮」の解釈は個人道徳の場面で多く認められた。研究2;個人領域の志向性としての「自愛の思慮」の発達目的;個人領域の志向性である「自愛の思慮」がタイプの異なる場面で他の社会道徳的志向性とどのように関係しているかを明らかにする。方法;対象は小学1年生から6年生456名。研究1に即した6場面が提示され,場面ごとに「逸脱の有無」と「逸脱と考える理由」が質問された。結果と考察:児童は場画に即した社会道徳的解釈を行うこと,「自愛の思慮」の思考は道徳的および慣習的な解釈よりも,その出現率が低いこと,低いながらも個人道徳の場面で多く出現することが見出された。また「自愛の思慮」は低学年と中学年の間で発達することが示唆された。
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Research Products
(4 results)