2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530585
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
山形 恭子 Kyoto Notre Dame University, 心理学部, 教授 (20085963)
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Keywords | 表記知識 / 絵本 / 手続き的知識 / 読み書き能力 / 表記活動 / 意味理解 / 連関過程 / 年少・年長児 |
Research Abstract |
本年度は初期発達における表記知識と表記活動・読み書き能力の連関過程を筆者が考案した絵本知識課題を用いて2歳〜6歳(年少児と年長児)を対象に研究した。絵本知識課題では年少児用と年長児用の絵本課題を作成し、1.絵本に関する手続き的知識、2.文字表記知識、3.絵本読みに関する手続き的知識、4.絵本のストリーに関する意味内容についての理解をinteractiveな手法を用いて絵本読み課題で調査した。その結果、これらの4種類の理解に関して年齢に伴って3つの異なる発達的変化が見出された。すなわち、年少児は1と4をすでに理解していたが、3に関しては年齢に伴って漸次的に発達し、2の文字表記知識では文字の同定は年少児で可能であるものの、実際の文字読みに関しては年齢に伴って発達することが明らかにされた。また、4種類の理解と読字・書字能力との偏相関の結果は年少児で1と読字能力との間に傾向が、年長児では2と3が読字・書字能力と有意な相関がえられた。これまで知識の観点から絵本にアプローチした研究は皆無であるが、本研究の結果は絵本課題における4種類の知識・理解を区分してその発生的過程を解明し、さらに、表記発達における表記知識・手続き的知識・意味内容理解の発達的な関連性についても新しい知見を提出している。本研究は認知発達研究における生得的制約に基づく領域固有説を巡る理論的議論に対して社会的文化的制約の観点から実証データを提起し、表記活動・表記知識の初期発達における特徴を明らかにし、シンボル表記発達に関する理論構築に資するとともに、文化財としての絵本の発達的役割に関する重要性を明らかにした。
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Research Products
(3 results)