2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530585
|
Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
山形 恭子 Kyoto Notre Dame University, 心理学部, 教授 (20085963)
|
Keywords | 表記活動 / 表記知識 / 絵理解 / 数字 / 漢字 / 年少幼児 / ひらがな文字 / 初期発達 |
Research Abstract |
本年度は初期発達における表記活動と表記知識の関連を解明するために、実証的研究から以下のことを検討した。 (1)幼児期の積木やかるた遊びでは絵と文字が提示され、絵の理解・産出が文字の理解・産出に発達的に先行することが指摘されている。本研究では絵が文字の習得に及ぼす影響を調べるために絵・文字提示条件と文字提示条件の効果の違いならびに言語的命名付与の有無の効果を年少幼児で検討した。結果は絵・文字提示条件が文字提示条件よりも正再認数が多く、良い成績傾向が認められた。また、読字能力の高低群ではやや高群の成績が良かった。言語的命名付与に関しては有意差がえられなかった。本結果は必ずしも明確な絵提示の文字習得に対する効果を見出していないが、今後、対象児数を増やして再検討する必要があると考えられた。 (2)表記知識の理解と表記活動の関係を探るために、年少幼児における多様なプリントに関する理解の発達を探究した。本研究ではプリントとしてひらがな文字以外に数字と漢字を取り上げ、これらの表記知識の理解を比較検討した。ひらがな文字は数字や漢字よりも早く3歳にスクリブルとの違いが認識された。数字や漢字では4歳にスクリブルとの違いが認識され、また、数字では絵と、漢字では文字用描線との識別も4歳で見られた。ひらがなと数字、漢字で発達的に違いが認められたが、相関分析からひらがな文字習得が数字・漢字に影響する様相が窺われた。 (3)産出課題と2肢選択分類課題における課題の違いが、暗黙と明示的な表記知識の違いを示すとの考えに基づいて2~4歳児を対象にその初期発達を調べ、課題差を検討した。産出課題が2肢選択分類課題よりも表記知識の理解が早期に成立し、暗黙の知識が現出することが示唆された。本研究から課題の違いによる方法論的吟味の重要性が明らかになった。
|
Research Products
(4 results)