2009 Fiscal Year Annual Research Report
軽度発達障害児・者にかかわる人々の障害理解・障害受容の心理的過程に関する研究
Project/Area Number |
19530586
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
長峰 伸治 Kanazawa University, 人間科学系, 准教授 (50303574)
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Keywords | 発達障害 / 保育士 / 高校教諭 / 面接調査 / コンサルテーション / 障害理解 |
Research Abstract |
平成21年度に主として行ったことは以下のとおりである。1)前年度実施した保育士への面接調査のデータ分析、2)発達障害をもつ生徒に関わった高等学校教諭への面接調査の実施と分析、3)発達障害当事者に関わる保護者と学校教員への支援(コンサルテーション)であった。 1) と2)については、分析の途中ではあるが、保育士や教員が発達障害当事者と関わる際に葛藤や関わりにくさ、理解しにくさを感じるか否かは「当事者が自発的に関わりを求めてくるか」「当事者の応答性、つまり、自らの関わり(働きかけ)に対して当事者から(それに見合った)応答があるかどうか」が関係していることが明らかになった。また、自ら関わりを求めない、あるいは、密な関わりが苦手な生徒との関わりにおいては「稽極的に関わりながら指導を行う」ことが職務の中心である学校教員にとっては、「教師としての武器」を発揮できないことへの葛藤や戸惑いを強く感じていることが示唆された。そうした葛藤などを感じながらも、教員らは、当事者への理解の仕方やこれまで続けてきた生徒や幼児への関わり方(のスキーマ)を変化させて、当事者の特性に応じた関わり方を模索して対応しようと試みていることも示唆された。 また、3)は、実際の発達障害当事者に関して、保護者と教員とともにチームで支援を行った事例についでの検討である。このチーム援助(コンサルテーション)は、教員が実際に当事者に関わりながら、また、保護者からの情報を参考にしながら当事者の特性の理解を深めることを主目的に定期的に行い、研究代表者は共通理解のための両者の調整役、つなぎ役であった。そこでは、当事者の特性に対して固定的な捉え方をするのではなく、当事者の言動の背景要因や本人にとっての意味をその都度考えながら対応することの必要性が示唆された。
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