2008 Fiscal Year Annual Research Report
学校組織におけるスクールリーダーのアセスメント能力開発に関する理論的・実証的研究
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19530590
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
渕上 克義 Okayama University, 大学院・教育学研究科, 教授 (20202294)
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Keywords | アセスメント / スクールリーダー / 教頭研修 / アクションリサーチ / 自己評価 / 集団討議 / アセスメント次元 / 文脈的業績 |
Research Abstract |
本年度は、初年度開発したスクールリーダーのアセスメントスケールの効果性を検証するために、新任教頭研修におけるリーダー(教頭)のアセスメント能力認識の変化について実証的に検討した。 対象者は,岡山県下の小・中・高等学校,及び特別支援学校の新任教頭126名であった。研修は,7月2日(水)に岡山県閑谷学校において実施された。著者が担当した演習は,以下の内容から構成されていた。(1)一人一人による教員評価の自由記述:日常新任教頭に教員のどのような側面について評価を行うよう心懸けているのかについて自由記述を求めた。(2)グループ討議:5〜6名のグループを作り,各自の自由記述を元にグループ討議を行った。(3)討議の結果,グループごとに教員評価の次元ごとにKJ法でグルーピングを行った。(4)西森・東野・淵上(2006)による六因子から構成されている校長と教頭のアセスメントスケール尺度を,筆者が新任教頭全員に提示して解説した。(5)新任教頭がくじによる振り返りと感想を自由記述によって求めた。 振り返りによる感想は以下の三点にまとめることができた。(1)より具体的な評価が可能になったことを指摘した感想:「今まではおおざっぱな見方でしか評価していなかったが今回の研修でより具体的で総合的な評価をする大切さを感じた。」,(2)他者との討論やアセスメントスケール尺度の提示により多様な評価への気づき「グループのメンバーと話し合う中で,自分が気づかない評価ポイントを知ることができた。今後の評価に活かしたい。」(3)組織における文脈的業績に対する認識「今後は教員の文脈的業績にも気を配りながら評価を心がけたい。今日習ったことを活かして,教員集団の協働を中心とした組織の変革を考えたい。」得られた研究成果は、関連学会(日本心理学会、日本教育心理学会、日本グループ・ダイナミックス学会等)において発表して、学術雑誌にまとめる予定である。 第二に,スクールリーダーによるリーダーシップが学校組織にどのような影響をもたらすのかについて、初年度の研究成果を中心に以下の学術雑誌にまとめた。(1)西山久子・淵上克義・迫田裕子2009学校における教育相談活動の定着に影響を及ぼす諸要因の相互関連性に関する実証的研究.教育心理学研究,第59巻,第1号掲載予定.(2)淵上克義・中谷素之・小泉令三・浅田匡・杉森伸吉2009学校組織における教職員の自発性構築に向けて.教育心理学年報,第48集掲載予定.次年度は最終年度であり,学校組織における教師の文脈的業績に関する評価について検討すると共に,三年間のまとめを行う予定である。
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