2009 Fiscal Year Annual Research Report
軽度発達障害児の友人関係形成スキル発達支援プログラム開発のための心理学的研究
Project/Area Number |
19530591
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
遠矢 浩一 Kyushu University, 人間環境学研究院, 准教授 (50242467)
|
Keywords | 発達障害 / 友人関係 |
Research Abstract |
自閉症やアスペルガー障害を主とする知的能力の高い発達障害児を対象とした集団心理療法を実施する中でそこに参加する児童および保護者を対象に友人関係意識についての調査研究を実施した。具体的には発達障害児友人関係尺度を作成し、現在の友人関係および、将来の友人関係に関する期待の二つの認識について、こども自身および保護者に尋ねた。同時に、WISC-IIIおよびCBCLの評価を実施した。友人関係尺度の分析の結果、こどもの友人関係は、3つの因子構造から理解できることが明らかとなった。さらに友人関係への希求性が低いとされる発達障害児であっても、現状よりも将来的によりよい友人関係を持ちたいと考えていることが示された。CBCLではかられる、引きこもり、不安抑鬱、社会性の問題等、問題行動カテゴリーごとに、友人関係尺度の評価値について、リスク高低群間で比較したところ、両群間に、友人関係認識のあり方に有意な差異が認められた。例えば、引きこもり傾向の強い児童は、現状よりも頻繁に友人関係の機会を持つことを期待しており、不安抑鬱傾向の強いこどもたちは、友人関係に対する将来展望が悲観的であること、また社会性の問題の強いこどもたちは、日常的な会話を求め、約束事やルールを守ることについては高い認識を示している一方で、悩みを相談するなどの内面的なコミュニケーションを求めることにおいては消極的であることが示された。これらの結果から、こどもの行動特徴から、友人関係への認識を推し量りつつ、適切な対人スキル獲得支援を実施していくことの必要性が示唆された。
|