2009 Fiscal Year Annual Research Report
アスペルガー障害がしめす情動喚起への調整方法の心理学的検討
Project/Area Number |
19530593
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
須田 治 Tokyo Metropolitan University, 人文科学研究科, 教授 (50132098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本郷 一夫 東北大学, 教育学研究科, 教授 (30173652)
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Keywords | 社会・情動発達 / アスペルガー障害 / 脱感作法 / チェックリスト / 発達障害 / 不安 |
Research Abstract |
須田は、実験な形での情動的な調整可能性を探っている。そのなかでケースごとに異なる生育過程について洗い直し、最近時に目にする「アスペルガー障害は、個人ごとに障害特性が異なりケース間の共通性が乏しい」という言説をチェックした。その結果生育暦を調べると共通した対人過程に困難のあることが明らかになった。つまり対人過程に問題を経験したケースに対して脱感作法による不安の軽減を試みをすることの意義は、一般的あると見ることができる。さらに青年期から成人期にかけてのアスペルガー障害の人々にリラクゼーションを行い、不安の緩和について前年度以前からの脱感作法の知見を確かめていった。そのようななかで永い期間に渡って精神的問題をさまざまな形で経験し、社会適応もいちじるしく困難を示した事例では、混在した心理学的問題が見出されたが、これには脱感作法そのものも難しく、その他の対応も限られていた。さらに診断そのものにも再検討が必要と明らかになった。 いっぽう本郷は、2つの事項について研究を実施した。1つは「気になる」幼児の発達の遅れと偏りに関する研究である。保育所における「気になる」幼児に対して、行動チェックリストによる評定と同時にKIDSを用いた発達的特徴の分析を行った。その結果、「気になる」幼児は、社会性(対成人)に次いで運動発達領域での遅れが大きいことが分かった。もう1つは「気になる」高校生の行動特徴に関する調査である。この研究からは、高校になると「気になる」生徒のうち女子が占める割合が高くなり、情動的問題を抱えやすくなること、また診断名がある生徒よりも診断名がない生徒の方が、「気になる」項目が多いことが分かった。これらの結果から、障害名の有無にかかわらず、幼児期からの継続的支援が重要であることが考察された。
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Research Products
(4 results)