2008 Fiscal Year Annual Research Report
家族システムの発達・変容に世代間の相互作用が及ぼす影響
Project/Area Number |
19530602
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Research Institution | Jin-ai University |
Principal Investigator |
赤澤 淳子 Jin-ai University, 人間学部, 准教授 (90291880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 大祐 仁愛大学, 人間学部, 講師 (40374871)
水上 喜美子 仁愛大学, 人間学部, 講師 (00387408)
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Keywords | 家族システム / 世代 / 地域 |
Research Abstract |
平成20年度は、家族システムが家族成員の精神的健康度に及ぼす影響に関する仮説の構築と本調査の項目検討のため実施した予備調査について分析を行った。予備調査は、世代間の関係が分析できるよう、大学生と大学生の親という二世代を調査対象とした。家族形態に着目して分析した結果、三世代家族では、親の祖父母世代との一致度に関する認知が、親の三世代同居イメージを経由し、間接的に子の高齢者観や祖父母観にも影響を与えていた。一方、核家族では祖父母世代と親世代との関係は、子の祖父母観には影響していないが、同居していない祖父母の存在が、三世代家族の子と同様に、時間的展望促進機能をもっている場合には、自尊心を高める効果をもっていた。つまり、予備調査結果から、家族の構造や家族内の交流パターンが、家族の人々の行動を形成するとされている家族システム論を立証する結果が得られ、仮説構築にとって重要な示唆が得られた。これらの結果をふまえ、本調査の質問項目を精選し、2009年3月から本調査を実施した。本調査は、全国規模と福井県内とで行った。また、世代間の相互作用や間接的影響をみるため、三世代家族を対象とする場合には、祖母用・母親用・子ども用の3種類の調査票を、核家族を対象とする場合には、母親用・子ども用の2種類をセットで配布しペアデータが回収できるよう努力した。本調査のデータを現在入力中であるが、これらの分析結果から、家族システムの発達・変容に世代間の相互作用が及ぼす影響についての仮説を構築する。また、量的調査では明確に出来ない点は、インタビュー調査も併せて実施し、さらに仮説モデルの裏付けを行う予定である。平成20年度に本調査を全国規模と福井県内とで実施できたことは、本研究の大きな意義として位置づけられよう。
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