2009 Fiscal Year Annual Research Report
想起抑制における意図-行為-表象の循環的機序に関する実証的研究
Project/Area Number |
19530604
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
野村 幸正 Kansai University, 文学部, 教授 (30113137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金敷 大之 畿央大学, 健康学部, 准教授 (30388897)
森田 泰介 東京理科大学, 理学部, 講師 (10425142)
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Keywords | 教育系心理学 / 意図 / 行為 / 想起抑制 / 表象 |
Research Abstract |
当該年度の目的は、過去2年の理論的、実験的成果を統合し、行為に関する新たな考えを提示することであった。まず、理論的成果に基づいて、意図なき行為と意図を具現する手立てとしての行為との整合性を図ったのである。具体的には、インド心理学の知見を援用し、その本質を行為の意図、意図なき行為への手だてとしての無為自然、さらには行為をカルマとしてとらえ、それが人生のあり方(行為)に及ぼす過程を文献的に、またインドでの調査を介して進めたのである。これらは必ずしも実証的研究という枠に納まるものではないが、実験的研究の知見を統合し、新たなモデルを提示し、知の枠組みを構築するためには避けて通れないものであった。 一方、実験的研究は研究分担者の協力を得ることで、1)情報レイアウト環境に関す2つの実験、2)未来の行為を支える想起に関数する2つの実験、きらには3)想起抑制に関する3つの実験を、それぞれ実施した。そして、得られたこれらの知見に依拠しながら、意図-行為-表象の循環的機序に関する一つの理論を明らかにしたものである。 従来、心理学が行為を表層的にしか捉えず、そのため固有の場での行為と意図と表象の関係に注目されることはほとんどなかったが、インド心理学の知見を組み入れることで、意図を具現する行為と意図なき行為が連続のものとして位置づけられたのである。 得られた研究成果の内、行為の本質とでもいうべき熟達に関する知見は『熟達心理学の構想--生の体験から行為の理論へ」として上梓し、また3年に及ぶ研究成果の核たる部分は、『想起抑制における意図-行為-表象の循環的機序に関する実証的研究』(平成19年度~21年度科学研究費補助金(基盤研究(C)研究成果報告書)として、紙媒体で上梓している。
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