2008 Fiscal Year Annual Research Report
アスペルガー症候群の不器用さに関する発達神経心理学的研究
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19530606
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
萱村 俊哉 Mukogawa Women's University, 文学部, 教授 (00233990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白瀧 貞昭 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (90107970)
井関 良美 武庫川女子大学, 短期大学部・人間関係学科, 講師 (30388798)
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Keywords | アスペルガー症候群 / 協調運動 / 不器用さ / 解離仮説 / 動作模倣 / 日誌法 / 健常幼児 / 小学生 |
Research Abstract |
平成20年度は、アスペルガー症候群/障害(AS)児を対象に協調運動検査を、昨年度から引き続き継続的に実施し、筆者が提唱しているAS児の不器用さにおける「解離仮説」の検証を行った。また、日誌法による健常幼児の協調運動発達の観察研究では、研究協力者と共同で、歩行をはじめとする粗大運動、及び描画(なぐりがきから模写への発達)などの微細な眼と手の協調運動にとくに注目して、その発達的変化を調べた。さらに、3〜6年生の小学校児童の協調運動発達のVTRによる分析を行った。 以上の研究により得られた知見は以下の3点であった。(1)「解離仮説」の妥当性は部分的には確認されたが、実際に解離が認められる運動領域はAS児の中でも個人差が大きく、それらを「解離仮説」として統一的に説明できる一貫した現象と捉えることは困難であった。今後さらに対象者を増やして再検討する必要がある。(2)健常幼児の協調運動発達では、歩行や姿勢の発達と描画の発達との間に時期的な連関が認められ、運動発達領域間での発達的相互作用の存在がうかがわれた。言語発達とくに音韻意識の発達は、動作模倣の正確さを向上させ、食具や筆記具などの道具類の操作性の上達に結びつく可能性も示唆された。(3)小学校児童における身体の左右を同時に運動させる「両側性協調運動」の発達では、検査者が視覚的に呈示した運動を模倣できる能力と、それを持続させる能力との間に解離がみられ、当該の運動の「持続困難さ」に発達臨床的な意義があることが示された。
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Research Products
(2 results)