2007 Fiscal Year Annual Research Report
超高齢期の心理的適応モデルとしての老年的超越の解明と測定尺度の開発
Project/Area Number |
19530611
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
権藤 恭之 Osaka University, 人間科学研究科, 准教授 (40250196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 龍太郎 財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 研究部長 (20150881)
河合 千恵子 財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 研究員 (00142646)
呉田 陽一 財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 研究員 (60321874)
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Keywords | 老年的超越 / 超高齢者 |
Research Abstract |
本研究は、超高齢期に生じると考えられる老年的超越(gerotranscendence)と呼ばれる精神的発達のプロセスを解明するための測定尺度の開発を目的としている。本年度は、2つのアプローチによって老年的超越の概念構造を検討した。第1は超高齢期(80歳以上)に到達した著名人に関する逸話や、超高齢や身体的虚弱を体験した高齢者によって綴られた著作から老年的超越に対応する記述をキーワードとして抽出するアプローチである。その結果、超高齢期の作者は空想力を重んじることおよび著作の特徴として時間感覚が変化することなどが挙げられた。第2は、超高齢者に対してインタビューを行い、身体的状態と心理的状態に対する評価や身体的機能低下に対する考え方、低下に伴う心理的変化の過程について聞き取り調査から老年的超越の構成概念構造や関連するキーワードを抽出するアプローチである。東京在住(男性5名;女性5名、平均年齢92歳)および秋田県在住(男性2名;女性2名、平均年齢93歳)の超高齢者に対してインタビューを実施し、その発言内容から超越的な世界観を持つ対象が存在する事は明らかになった。しかし、その内容が抽象的、かつ語り全体で表現されているために、個別のキーワードとして抽出することが難しかった。質問項目を作成するためには具体的な心理的経験をキーワードとして収集する必要があると考えられた。そこで、対象者の語りに具体的事例が含まれることをねらい、老年的超越の提唱者であるトレンスタムが利用したインタビューガイドを改めて日本人の文化的背景を考慮し再構成し、具体的な超越の事例を挙げながらインタビューを実施することとした。現在、東京在住の超高齢者を対象にデータの収集を行っている。
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Research Products
(25 results)