2007 Fiscal Year Annual Research Report
心理面接における困難な場面とその対処法に関する研究
Project/Area Number |
19530614
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
岩壁 茂 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (10326522)
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Keywords | 臨床心理学 / 心理面接過程 / プロセス研究 / 治療的困難 / 治療関係の問題 / 治療的失敗 / ミスマッチ / 臨床的訓練 |
Research Abstract |
本研究プロジェクトは、心理臨床家が心理療法において遭遇する困難と失敗についての理解を深めることである。本年度は、基盤を作るためのレビュー研究および、治療的失敗の主要な原因の一つであるミスマッチに焦点を当てた。 まず、心理面接においてセラピストが遭遇する諸困難を研究するための基盤として、理論・研究・臨床的文献を広くレビューし、心理療法における治療的失敗の理論的モデルを作成した。この理論モデルは、心理療法における失敗の包括的な理論的枠組みであり、本研究プロジェクトを遂行する上で指針となるだけでなく、臨床家の教育訓練において、心理療法プロセスにおける諸困難と問題について扱う上で役立つだろう。このような包括モデルは、これまで国内外でもなかった。そのモデルを7月に開かれた国際大会で発表し、他の研究者からのフィードバックを得た。 次に、治療的失敗の主要な原因の一つであるクライエントとセラピストのミスマッチに関してセラピスト・インタビューを行った。10数名の臨床家からインタビューを行った結果、ミスマッチには、外見・身体的特徴など臨床教育においてあまり扱われることがない一般的な特徴が治療的困難とかかわっていた。また、ミスマッチの結果として、セラピストは、嫌悪、怒り、困惑など陰性感情を体験し、クライエントから感情的距離をとる様々な行動をとっていたことが分かった。このようなミスマッチの実証的研究は、これまでほとんどなかった。この結果は、平成20年度の国際大会で発表する予定である。
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Research Products
(2 results)