2009 Fiscal Year Annual Research Report
心理面接における困難な場面とその対処法に関する研究
Project/Area Number |
19530614
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
岩壁 茂 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (10326522)
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Keywords | 臨床心理学 / 心理療法 / 治療的困難 / プロセス研究 / 共感の失敗 / 質的研究 / ドロップアウト / 臨床家のセルフケア |
Research Abstract |
これまで成功事例は多く報告されているが、困難な場面、特にドロップアウトや中断に至る心理療法にどのような面接プロセスの特徴があるのが明らかにされてこながった。本研究は、クライエントとセラピストの両方の視点がら、治療的失敗と関連する面接プロセス、およびクライエントとセラピストにかかわる要因を同定することを目的とした。また、治療的失敗を検討するための方法論的問題を整理した。 本年度の目的の一つは、心理療法における困難場面のプロセス研究であった。昨年度に続き臨床家インタビューの内容を質的に分析するのに加え、試行カウンセリングを実施し、Interpersonal Process Recallを実施することで、クライエントの視点から心理面接の問題場面を分析した。その結果、初期面接では、共感波長のズレが起こりやすいが、クライエントは反応を隠すために、臨床家が気づかないことが多いと分かった。セラピストは、感じている共感よりも実際に言葉にして伝える共感のほうがはるかに少ないと感じていた。また、面接回数を重ねるにつれて、共感のズレが修正されていくことも示された。経験豊富なセラピストは、特にこのようなズレをクライエントをより深く理解するためのきっかけとして利用していた。これらは治療的困難な場面をどう扱うのかということに対する臨床的示唆に富んでいる。 臨床家の治療的困難の体験とセルフケア行動の関連についてサーベイを実施した。日常的に困難な場面に遭遇する頻度は低かったが、ばらつきもみられた。臨床現場とクライエント層により治療的困難には違いがみられる。また、臨床家は幅広く多様なセルフケア行動に取り組んでいることが分かった。
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Research Products
(3 results)