2008 Fiscal Year Annual Research Report
児童養護施設入所児童の発達と可塑性ーサクセスフル・アダプテーションを支える要因
Project/Area Number |
19530633
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Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
向井 隆代 University of the Sacred Heart, 文学部, 准教授 (00282252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐伯 素子 聖徳大学, 人文学部, 講師 (80383454)
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Keywords | 施設入所児童 / 心理社会的発達 / 可塑性 / 縦断的研究 / 適応 |
Research Abstract |
児童養護施設に入所している児童を対象に、心理社会的発達の様相を縦断的にとらえること,および彼らの適応的な発達を支える要因を明らかにすることが本研究の目的である。平成20年度は,19年度に引き続き,各協力施設にて職員および児童を対象とする調査を行った。職員に対しては個別面接調査と質問紙調査,児童に対しては個別面接調査と行動観察によって,新たに入所した児童の基礎的情報の収集と前年度からの継続児童に対する追跡調査を行った。 幼児期における保護因子と考えられる気質的特徴,知的能力,感情推測能力,対人関係の枠組みの査定に加え,自己制御機能の発達についても実験課題を行った。対象児童数が限られる(31名)ため,統計的検討が可能な分析はまだ限られるものの,施設入所児童の間にも個人差が大きいこと,また,行動抑制の実験課題を通過できた子どもは,通過できなかった子どもに比べ,特に行動化の側面の問題行動傾向が低いことがわかった。社会的文脈を理解して行動抑制や自己制御ができることは,社会的ルールを内在化する基盤と考えられるため,問題行動傾向との関連が認められたことは重要な知見であると考える。小学校入学後も同様な関連が認められるのかどうかは,今後の調査で検討していく。
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