2008 Fiscal Year Annual Research Report
自殺予防教育の一環としての幼年版Death Education Program
Project/Area Number |
19530641
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Research Institution | Fukuoka Jo Gakuin University |
Principal Investigator |
牧 正興 Fukuoka Jo Gakuin University, 人間関係学部, 教授 (30141758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 和子 福岡女学院大学, 人間関係学部, 准教授 (50321344)
佐藤 武 佐賀大学, 保健管理センター, 教授 (30178751)
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Keywords | Death Study / 幼児期 / 死の概念形成 / 認知発達 / 絵本 |
Research Abstract |
幼児(3〜5歳)に対しする死と生に関する絵本の読み聞かせをもとにした一連の研究によって、発達過程への介入に大きな意義があることが認められた。また、幼児へのDeath Studyの実践が、不安や恐怖を呼び起こさないことも明らかとなった。そこで本研究においては、幼児が死を具体的かつ身近なものとして捉え、自然に受け止めるべく体勢作りを行い、死の概念形成のプロセスに介入し、Death Studyのより具体的かつ確かなものへと導くための検討を行うことを目的とした。方法としては、死と生に関する絵本の中からKJ法によって目的に沿って適切なものを6冊選定した。これらを3歳〜5歳の保育園児に対して週1回(1回15分)の割合で約5ヶ月間(通算15回)絵本の読み聞かせを行った。これらについて、主に感情、普遍性、機能停止、非可逆性、認知的側面、ないし収録したVTRをもとに分析を行い、検討した。その結果、実施した群としない群に興味ある差異が認められた。とくに3歳児ではその差異が顕著に認められ、実施した群ではほとんど全ての項目で向上し、しない群ではほとんど差が認められなかった。4歳児では両者間にその差異は顕著ではなかったものの、実施しない群に、その前後で下降する項目も見られた。いづれにしても、両群ともにばらつきが多いことが4歳児の特徴であることも伺えた。また、5歳児ではこれらに関する視点は概ね安定していることが確認できた。また、実施群の全ての幼児から恐怖等の反応はなく、むしら「楽しかった」という内省が聞かれ、幼児期早期からのDeath Studyによって、かえって死を自然に、そして具体的に受け入れる可能性が示唆された。今後の課題として、今回試みた絵本のみによるDeath Studyから、更に具体性のある直接体験的な方法への検討も考えていく。
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