2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳内ドパミン作動性神経系によるオペラント行動の制御機序の解析
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19530646
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
筒井 雄二 Fukushima University, 共生システム理工学類, 准教授 (70286243)
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Keywords | オペラント行動 / ドーパミン作動性神経 / 側坐核 / レバー押し / 6-hydroxydopamine / トランスジェニックマウス / イムノトキシン |
Research Abstract |
本研究では脳内のドーパミン(DA)作動性神経とオペラント行動との関係を明らかにする。従来,黒質から線条体に投射する黒質線条体DA系は運動調節,腹側被蓋野から側坐核に投射する中脳辺縁DA系は情動や動機づけにそれぞれ関与すると考えられてきた。ところで,オペラント行動とは動物が自発し,かつ,報酬で強化されるという特徴を有することから,「運動」であると同時に動機づけとも関係がある。従ってオペラント行動の脳内メカニズムには中脳辺縁DA系が関与する可能性が考えられる。そこで,我々はエサを報酬としたレバー押し行動をマウスに学習させ,側坐核にDA神経の神経毒である6-hydroxydopamine (6-OHDA)を投与した。その結果,マウスのレバー押しは開始するまでに長い時間がかかるようになった。また,6-OHDAの側坐核投与は一般活動性や,エサの摂食スピード,摂食量には影響しなかったことから,側坐核のDA伝達の低下はエサを報酬とするオペラント行動を抑制するが,一般活動性やエサへの動機づけの低下に起因しないと考えた。 次にエサ以外の報酬を用いたオペラント行動として条件性場所選好学習を使用した。明暗箱を装置とし,明室と暗室のどちらか一方とメタンフェタミン(METH)を対提示し,他方と生理食塩水を対提示した。イムノトキシン細胞標的法という手技により,側坐核shell領域でドーパミンD2受容体を有する神経細胞を死滅させた。その結果,METH投与時に滞在していた場所に対して形成される選好が,イムノトキシン投与により減弱することがわかった。このことから,側坐核shell領域のD2受容体は条件性場所選好の形成に重要な役割を果たすこと,中脳辺縁DA系は薬物を報酬とするオペラント行動にも関与していることがわかった。
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