2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳内ドパミン作動性神経系によるオペラント行動の制御機序の解析
Project/Area Number |
19530646
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
筒井 雄二 Fukushima University, 共生システム理工学類, 准教授 (70286243)
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Keywords | オペラント行動 / ドーパミン作動性神経 / 背側線条体 / レバー押し / リアクションタイム課題 / イムノトキシン / トランスジェニックマウス / D1受容体 |
Research Abstract |
脳内ドーパミン(DA)作動性神経系は動物の運動機能や情動行動, 動機づけと密接に関わることが知られる。本研究の目的は, エサを報酬としたオペラント行動の制御に当該神経系がどのように関わっているのかを明らかにすることである。今年度は, 黒質から線条体に投射するDA経路(黒質線条体DA系)に焦点をあて, 特に背側線条体におけるドーパミンD1受容体を介した神経伝達が, マウスのレバー押し行動の遂行に与える影響を調べた。レバー押し行動を分析するにあたり, リアクションタイム課題という行動実験法を用いた。リアクションタイム課題はオペラントチャンバ内で行った。オペラントチャンバのフロントパネルには, 左右に2本のレバーを配置した。レバーの上部にはスモールライトをそれぞれ取り付けたが, 2本のレバーの提示と同時にどちらか一方のスモールライトを点灯させた。このとき, ライトが点灯した側のレバーをマウスが押した場合に正反応とし, エサ粒で強化した。この課題は, マウスが外的信号(スモールライト)にしたがい, 正しくかつ素速く運動することを要求する課題である。リアクションタイム課題をマウスが習得後, イムノトキシン細胞標的法とよばれる方法により, 背側線条体におけるD1受容体を介した神経伝達を選択的に阻害した。その結果, イムノトキシンにより背側線条体のD1受容体を有する神経が障害されたマウスは, レバー押し行動を正しく遂行することはできるが, そのスピードが遅くなることが明らかになった。このことは, 背側線条体におけるD1受容体を介する神経伝達が, オペラント行動の調節に関与していることを示している。
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Research Products
(2 results)