2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳内ドパミン作動性神経系によるオペラント行動の制御機序の解析
Project/Area Number |
19530646
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
筒井 雄二 Fukushima University, 共生システム理工学類, 准教授 (70286243)
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Keywords | 背側線条体 / D2ドパミン受容体 / ドパミン / 聴覚弁別 / リアクションタイム課題 / ラット / オペラント行動 / 学習 |
Research Abstract |
背側線条体は刺激と反応の連合学習といった道具的な学習のプロセスにおいて重要な役割を担っている。線条体からの出力は2種類の主要な経路(直接路と間接路)によって媒介される。直接路はモノシナプス性に黒質(線条体-黒質ニューロン)を,間接路は淡蒼球核(線条体-淡蒼球ニューロン)を介して出力核へ指令を送る。しかしこれらの経路が道具的な学習のメカニズムにおいて,どのように寄与しているかは依然明らかにされていない。イムノトキシン細胞標的法(immunotoxin-mediated cell targeting : IMCT)は,遺伝子発現の特異性に基づいて特定のニューロンタイプを誘導的に破壊するためのアプローチである。ここで我々はドパミンD2受容体(D2R)遺伝子の特異性に依存してヒトインターロイキン-2受容体・サブユニット(IL-2Rα)を発現する遺伝子変異ラットを作製した。ラットの線条体にイムノトキシンの投与を行ったところ,線条体-淡蒼球ニューロンの選択的除去が引き起こされたが他のニューロンは正常に存在していた。また我々は,聴覚性弁別課題を用いて線条体-淡蒼球ニューロンの選択的除去がラットのレバー押し行動に及ぼす影響を調べた。この課題では,報酬を得るために2種類の異なった聴覚性刺激(2000Hzと8000Hz)を弁別し,左右に位置したレバーを押し分けることが要求される。ラットはこの課題学習を獲得した後,背側線条体ヘイムノトキシンを投与された。イムノトキシンの投与によって線条体-淡蒼球ニューロンが選択的除去されたラットは,正反応率が有意に減少した。一方,正反応に要する時間や無反応率は変化しなかった。以上の結果から,線条体-淡蒼球ニューロンは条件性弁別学習において反応弁別の正確な制御に重要な役割があることが示唆された。
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Research Products
(2 results)