2007 Fiscal Year Annual Research Report
社会的経験が実験室マウスの社会行動発達に影響を及ぼす機序に関する研究
Project/Area Number |
19530647
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加藤 克紀 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (50261764)
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Keywords | 社会的隔離 / マウス / 臭い / コミュニケーション / 攻撃行動 / 臆病反応 |
Research Abstract |
19年度は,雄の臭いが社会的隔離効果とどのように関わっているか検討した.【実験1】ICR系雄マウスを4週齢から5週間,以下の3条件で飼育した.(1)臭い暴露条件:単独飼育だが,週3回,別の単独飼育雄のケージに移し,汚れたケージや床敷きを介して他の雄の臭いに暴露する.(2)臭い非暴露条件:臭い暴露条件の単独雄が別の単独雄のケージに移される際,同時にハンドリングだけを受ける.(3)集団条件:3匹1群で飼育する.所定の飼育後,同週齢の集団飼育された新奇なICR系雄マウスと出会わせテストを行い,社会行動を評価した.その結果,単独雄同士で臭い暴露を行っても隔離雄の特徴である攻撃行動や臆病反応の増加は全く抑制されず,社会的隔離効果に変化は認められなかった.【実験2】4-9週齢の若齢期において臭い暴露の効果が検出されなかったので,10-11週齢から5週間,実験1と同様の3条件で飼育する追加実験を行った.15-16週齢で出会わせテストを実施した結果,成体期においても臭い暴露は隔離雄の攻撃行動や臆病反応を減少させることはなかった.これらの結果は,(1)他の雄の臭いへの暴露が週3回のケージ移動では量的に不十分であった可能性と,(2)汚れたケージや床敷きを介して受容された他の隔離雄の臭いは,集団雄が発する臭いとは質的に異なっており,そのため社会的隔離効果を抑制することができなかった可能性を示唆した.(2)の可能性については20年度に検討する予定あるが,もし隔離雄と集団雄で臭い物質が異なり,集団雄が発する臭い物質だけが社会的隔離効果を抑えるとすれば,それは新しい発見である.
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Research Products
(1 results)