2008 Fiscal Year Annual Research Report
社会的経験が実験室マウスの社会行動発達に影響を及ぼす機序に関する研究
Project/Area Number |
19530647
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加藤 克紀 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (50261764)
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Keywords | 社会的隔離 / マウス / 臭い / コミュニケーション / 攻撃行動 / 臆病反応 |
Research Abstract |
【実験1】他の雄の臭い受容が社会行動発達に及ぼす影響 隔離期間中に他の雄が汚したケージと床敷きを提示し,他の雄の臭いが隔離効果を変化させるかどうか検討した.昨年度実施した研究において隔離雄同士で飼育ケージを交換したところ,隔離効果に変化がなかったため,今年度は,集団飼育された雄が使用したケージに隔離雄を入れ,隔離効果の変化を調べた.[方法]ICR系雄マウスを4週齢から5週間,次の3条件で飼育した.(1)臭い暴露条件:単独飼育だが,週に2回,集団雄が使用したケージに移す,(2)臭い非暴露条件:単独飼育だが,臭い暴露条件の隔離雄のケージ移動に合わせてハンドリングを受ける,(3)3匹1群で集団飼育.[結果]条件(1)において攻撃行動の低下が認められた.しかし,他個体の接近・接触に対する臆病反応は影響を受けなかった.従って,昨年度の結果から,隔離雄と集団雄では排泄物などに含まれる物質に違いがあり,それが隔離効果をもたらす重要な成分であることが示唆された.しかし,その影響は攻撃行動に限定的であり,隔離雄に特徴的に観察される臆病反応には効果がなかったことから,隔離効果には他の雄との接触経験などの関与が推測された.今後,この可能性についてさらに検討する. 【実験2】集団飼育による隔離効果の変容 マウスでは隔離効果が可逆的なことがオープンフィールド行動について報告されているが,社会行動についてはわかっていない.そこで,隔離雄を集団に入れ,隔離効果の変化を調べた.[方法]ICR系雄マウスを3週齢から5週間,単独あるいは3匹1群で飼育した後,出会わせテストを行い,社会行動を評価した.その結果に基づき,(1)単独飼育を継続,(2)単独飼育から集団飼育に変更,(3)集団飼育から単独飼育に変更,(4)集団飼育を継続の4条件でさらに5週間飼育した.[結果]条件(2)で隔離雄による攻撃がひどい事例が多く実験を中止した.方法的に改良の余地がある.
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Research Products
(1 results)