2008 Fiscal Year Annual Research Report
両眼情報の統合メカニズムに関する心理物理学的・瞳孔計測的研究
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19530650
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
木村 英司 Chiba University, 文学部, 准教授 (80214865)
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Keywords | 瞳孔反応 / 両眼視 / 視野闘争 |
Research Abstract |
本研究は、心理物理学実験と瞳孔計測実験を並行して実施することによって両眼間での情報統合の諸特性を検討し、その基礎メカニズムを明らかにすることを目的としている。今年度の主な研究成果は以下の通りである。 (1)異眼間抑制事態における知覚の変化と瞳孔反応の変化との対応関係の検討:今年度は、2007年度に報告した、永続的抑制(一方の眼に高コントラストの縞刺激を提示すると、その後に他方の眼に提示された刺激が安定して抑制される現象)の空間周波数依存性に関して、心理物理実験と瞳孔計測実験においてさらに検討を加えた。その結果、瞳孔反応の振幅と潜時において異なる抑制効果が認められるという興味深い知見が得られた。すなわち、瞳孔反応の潜時を分析すると、心理物理学実験と同様、空間周波数に選択的な抑制効果が認められたのに対して、瞳孔反応の振幅を分析すると、空間周波数選択性は顕著ではなく、抑制刺激の空間周波数が低い場合により大きな抑制効果が認められた。この現象の生理学的メカニズムは未だ明らかではないが、永続的抑制によって2種類の異なる異眼間抑制(刺激属性に選択的な抑制と非選択的な抑制)が生じていることが示唆される。そして、異なる抑制が、瞳孔反応を媒介する異なる視覚経路で生じていることが考えられる。 (2)見えの変調現象を用いた両眼間相互作用の基礎メカニズムの検討:今年度は、色やパターンといった異なる視覚属性が両眼間で統合される際の相互作用に関して、見えの変調現象(視野闘争時の刺激の見えが、先行して提示される刺激の影響を受けて変わる現象)を用いて検討した。その結果、色縞闘争刺激が両眼間で統合される際には、色やパターンという単一属性に基づく処理過程だけでなく、両属性の組み合わせに基づく処理過程も寄与することが示唆され、対応する生理学的メカニズムに関して考察を加えた。
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Research Products
(9 results)