2009 Fiscal Year Annual Research Report
両眼情報の統合メカニズムに関する心理物理学的・瞳孔計測的研究
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19530650
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
木村 英司 Chiba University, 文学部, 准教授 (80214865)
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Keywords | 瞳孔反応 / 両眼視 / 視野闘争 |
Research Abstract |
本研究は、心理物理学実験と瞳孔計測実験を並行して実施することによって両眼間での情報統合の諸特性を検討し、その基礎メカニズムを明らかにすることを目的としていた。今年度、瞳孔計測実験に関しでは、知覚変化と瞳孔反応の関係を主として検討した。実験では、白刺激と黒刺激の離眼提示により視野闘争を生じさせ、物理的に提示されている刺激とそれに対する知覚内容が食い違う事態における瞳孔反応を検討した。その結果、刺激系列が物理的に同一であっても、見かけの明るさの増加が大きい場合の方が、瞳孔反応の振幅が大きくなること、すなわち、瞳孔反応は見えの変化に対応した変化を見せることが明ちかとなった。さらに、視野闘争時の定常的な瞳孔径に関しても検討したところ、物理的には同一の闘争刺激を観察していても、白を知覚している場合の方が瞳孔径は小さくなることが明らかとなった。輝度変化に対する瞳孔反応は、皮質下の視覚経路によって制御されていると考えられているため、本研究の結果は、異眼間抑制による知覚的変化に対応する神経活動は、皮質だけでなく皮質下経路における視覚処理に対しても影響することを示唆している。心理物理実験に関しては、今年度は主として、色と運動、あるいは、色と方位の組み合わせから成る闘争刺激の見えがどのように決定されるかを、見えの変調現象(視野闘争時の刺激の見えが、先行提示される刺激の影響を受けて変わる現象)を用いて検討した。その結果、色と運動の誤結合現象を発見するとともに、闘争刺激の優勢/抑制の決定が主として単一属性の処理に基づくのに対して、刺激の見えは属性の組み合わせに影響されることを明らかにした。この結果から、闘争の解決には個々の視覚属性が並列的に処理される初期段階を含めた複数の処理過程が関与していると考えられる。
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Research Products
(9 results)