2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530651
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高野 陽太郎 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20197122)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 章浩 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教 (80396530)
|
Keywords | 外国語副作用 / 外国語 / 思考 / 言語 / 注意 / 二重課題 |
Research Abstract |
本研究の目的は、外国語副作用が言語処理のどの段階で生じるのかを調べることであった。外国語副作用とは、「母語ほどには習熟していない外国語を使用している最中には、一時的に思考能力が低下する」という現象であり、本研究の代表研究者が初めて報告した(Takano & Noda,1993)。平成19年度に実施した実験は、語彙検索プロセスにおいて外国語副作用が生じるかどうかを調べることを目的としていた。この実験では、思考課題のみを行う統制条件、思考課題と言語課題(日本語)を同時に行う日本語条件、思考課題と言語課題(英語)を同時に行う英語条件の3条件を設けた。実験は被験者内計画で行い、被験者は日本語を母語とする大学生24名であった。思考課題は、知能検査で使用される非言語課題であり、コンピュータのディスプレイに問題が提示され、被験者はキーボードのキーを押すことによって解答した。言語課題は語彙性判断課題であり、コンピュータに接続したスピーカーによって音声的に問題が提示され、被験者は口頭で解答した。この課題は、提示された音声が単語か非単語かを判断する課題であり、語彙検索プロセスが使用される。実験の結果、思考課題の成績は、統制条件、日本語条件、英語条件の順で低下していた。英語条件と統制条件、英語条件と日本語条件の差は統計的に有意であった。従って、語彙検索プロセスにおいて外国語副作用が生じていたと考えることができる。
|