2009 Fiscal Year Annual Research Report
チンパンジーのカテゴリー認識に及ぼすラベル化の効果に関する比較心理学的研究
Project/Area Number |
19530653
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 正之 Kyoto University, 野生動物研究センター, 准教授 (80280775)
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Keywords | カテゴリー認識 / シンボル / アイコン / ラベル化 / チンパンジー / 比較認知科学 / 視覚的好み |
Research Abstract |
昨年度にひきつづき、京都大学霊長類研究所の6個体を対象として、遅延象徴見本合わせ課題によって、物体写真と、図形文字を使ったシンボルまたは線画を使ったアイコンとの関連づけを学習させる。1個体については、当初計画していた4種類の食物と対応するシンボルを学習したので、6種類にアイテムを増やして訓練をおこなった。他の5個体については4種類の食物写真と対応するシンボル、アイコンの訓練をおこなったが、計画期間中に学習を完了することができなかった。4種類のアイテムでの学習が完了した1個体については、遅延時間を操作してシンボルとアイコンの記憶保持を比較するテストをおこなった。その結果、遅延1秒のときには、見本刺激として提示されたシンボル(またはアイコン)と同じシンボル(またはアイコン)が選択刺激として提示される同一見本合わせ条件の方が、選択刺激が写真の象徴見本合わせ条件よりも成績がよかったが、遅延5秒ではこの成績の差がなくなるという交互作用が見られた。このことは、シンボル(またはアイコン)が保持される際に見えたままの視覚像として保持されるのではなく、意味的に処理されて保持されていたことを示唆している。一方、シンボルとアイコンの間に成績の差が一貫して見られなかった。このことから、少なくともこの1個体のチンパンジーについては、人間がシンボルとアイコンとして別々に扱っている記号を、同質なものとして認識していることが示唆された。本研究では、見本合わせ課題に代わって、視覚的カテゴリー認識を測る課題として、申請者自身が考案した「自由選択課題」を用いて、テナガザルの視覚的好みにおけるカテゴリー認識についての知見も得ることができた。
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Research Products
(4 results)