2007 Fiscal Year Annual Research Report
マスキングを利用した視覚情報の時空間統合と知覚形成のメカニズムに関する研究
Project/Area Number |
19530656
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
七五三木 聡 Osaka University, 医学系研究科, 准教授 (20271033)
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Keywords | 一次視覚野 / 外側膝状体 / 文脈依存的反応修飾 / ネコ |
Research Abstract |
一次視覚野(V1)ニューロンは、受容野刺激に対する応答が、受容野周囲の刺激布置に依存して、主に抑制性の反応修飾(文脈依存的反応修飾)を受けることが知られている。このような応答特性の形成には、少なくとも、1)LGNとの双方向性結合、2)V1内の層間結合、3)V1内の側方結合、4)高次視覚野との双方向性結合、などV1の活動に主たる貢献をしている神経回路の複雑な機能連関の関与が指摘されているが、未だ明らかになっていない。これまでの研究において、静止グレーティング刺激を用い、ネコV1ニューロンにおける受容野外刺激による抑制性反応修飾の時空間特性について検討してきた。その結果、受容野外近傍を刺激することで起こる短潜時(〜40ms)かつ一過性の抑制成分(早期成分)と、受容野中心から視角8度以上の広範囲にわたり、刺激サイズに依存した抑制強度の増加および抑制潜時の短縮(90ms→〜45ms)を生じる持続的な抑制成分(後期成分)の2種類の抑制があることを見出した。このようなV1における反応修飾に、LGNニューロンの活動がどのように関与するのかを調べるために、麻酔・非動化したネコのLGNから単一ニューロン活動を細胞外記録し、V1での実験で用いた静止グレーティング刺激を用いて受容野周囲刺激による反応修飾の時空間特性を検討した。その結果、多くのニューロンにおいて短潜時(25-40ms)で応答の抑制が観察された。その抑制の空間加算を生じる範囲は視角6度(半径)以内と狭く、また、刺激サイズに依存した抑制潜時の短縮は観察されなかった。これは、V1ニューロンにおける早期抑制成分の性質とよく対応し、その根拠となっていると考えられた。一方、後期成分に相当する抑制はLGNニューロンにほとんど見られなかったことから、V1以降の皮質神経回路の関与が示唆された。
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