2008 Fiscal Year Annual Research Report
マスキングを利用した視覚情報の時空間統合と知覚形成のメカニズムに関する研究
Project/Area Number |
19530656
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
七五三木 聡 Osaka University, 医学系研究科, 准教授 (20271033)
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Keywords | 一次視覚野 / 外側膝状体 / 文脈依存的反応修飾 / ネコ |
Research Abstract |
一次視覚野(V1)や外側膝状体(LGN)などの初期視覚系に位置するニューロンは、受容野刺激に対する応答が、受容野周囲の刺激布置に依存して、主に抑制性の反応修飾(受容野周囲抑制)を受けることが知られている。しかし、その神経回路およびメカニズムは明らかになっていない。今回、LGNニューロンにおける受容野周囲抑制の神経メカニズムを明らかにするために、単一神経細胞記録法と電気泳動的薬物投与法を組み合せ、神経活動記録中のニューロンに、GABAa受容体の拮抗薬であるBicucullineを細胞外投与し、その効果を検討した。その結果、多くの細胞において受容野周囲抑制効果の約30%程度がBicucullineによって解除された。このことから、受容野周囲抑制には、LGN内でのGABAa受容体を介したメカニズムとそれ以外のメカニズムの二っから生じていることが明らかになった。そこで、それらの異なるメカニズムが、視野のどの程度の空間的範囲から生じているのかを検討するために、受容野外を様々なサイズで刺激し、それらにより生じる応答減弱に対するBicucullineの効果を検討した。その結果、受容野外側の近傍(視角1度未満)からの抑制はBicucullineによって解除されるが、さらに外側の刺激によって生じる応答減弱は解除されないことが明らかになった。受容野周囲抑制は、網膜の段階で細かく分けて符号化された視野情報を統合して、より広い範囲の視野情報として脳内表現するための機能的意義が考えられている。本研究より、そのような空間的に異なる範囲の視野情報は、異なる神経メカニズムによってニューロン応答に反映されることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)