2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530657
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
志村 剛 Osaka University, 人間科学研究科, 教授 (80150332)
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Keywords | 脳内報酬系 / 神経回路 / 扁桃体 / 側坐核 / 腹側淡蒼球 / 味覚 / c-fos / 摂食行動 |
Research Abstract |
飲食物摂取に重要な味覚刺激に対する嗜好や嫌悪が、いかなる神経回路の働きで生じるのかを明らかにするために、味覚情報が脳内報酬系にアクセスする過程を検索した。 1.脳内報酬系のかなめである側坐核に情動関連情報を送る扁桃体が、味覚行動において果たす役割を、中心核および基底外側核の2つの代表的亜核に分けて検討した。あらかじめ高嗜好性流動食(エンシュアリキッド)を経験させたラットでは、空腹でなくてもエンシュアリキッドの摂取量が増加するが、直前にγ-アミノ酪酸(GABA)の作動薬を中心核に微量投与すると摂取量が著明に減少するとともに、対象物を拒否する前肢の交互運動が頻発した。GABA作動薬を基底外側核に投与した時には、このような変化はなかった。 2.中心核にGABA作動薬を投与して嫌悪性の前肢交互運動が観察されたラットにおいて、ニューロン活性化のマーカーであるFosタンパク質の発現パターンをしらべると、下位脳幹の孤束核、結合腕傍核など内臓感覚の投射路の一部において特異的な活性化がみられた。 3.甘いサッカリン溶液の摂取後に、薬物によって内臓不快感を引き起こし、その味を嫌悪するようになったラットの腹側淡蒼球では、サッカリン溶液を口腔内に注入すると、2時間以上にわたってGABAの放出量が増加した。しかし、もともと嫌悪性の高い苦い溶液や嫌悪条件づけをしない場合のサッカリン溶液の刺激ではGABA放出は変化しなかった。 4.以上の結果は、扁桃体中心核GABA系が情動性味覚情報処理に重要な役割を果たし、側坐核、腹側淡蒼球を介して、嗜好性および嫌悪性行動の発現に関与することを示唆する。
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Research Products
(11 results)