2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530658
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森川 和則 Osaka University, 人間科学研究科, 教授 (70312436)
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Keywords | 知覚 / 視覚 / 顔 / 順応 / 残効 |
Research Abstract |
「高次視覚の順応と残効」アプローチの研究を継続した。Morikawa(2005)の見出した知覚的順応と残効が顔刺激に限定されるのか否かを検証するために、コンピュータグラフィクスで顔以外の人工物体(自動車)を制作しその左右対称性を微妙にくずした刺激を用いて、視覚的順応実験を行った。実験方法はMorikawa(2005)に準じ、歪みの量をシステマティックに変化させた刺激系列を用いて最も自然に見える刺激位置を測定した。その結果、顔でない人工物体に対しても左右非対称歪みに対する順応および残効が生じることが新たに実証された。この結果は、脳内の顔認識を担当する皮質部位(紡錘状回など)が顔以外の物体の微妙な識別にも関与していることを示唆する。さらに残効の時間的特性を顔刺激と顔以外の人工物体刺激とで比較するため、顔画像に2種類の歪みを加えた刺激を用いて30分後の残効の残存率を測定し、さらに顔でない人工物体の歪み量を顔刺激の歪み量と全く同一にして残効の残存率を測定した。その結果、顔に比べ、顔でない人工物体の残効は、より速く減衰することが示唆された。これは脳内の顔認識を担当する皮質部位が入力刺激により顔知覚を柔軟に更新していること、および一旦更新するとそれが長続きすることで顔表象空間(face space)の柔軟性と安定性を両立させていることを示唆する。この成果は雑誌に投稿予定である。 なお種々の事情により、「訓練による知覚変容(知覚恒常性の抑制)」からのアプローチの研究は予定より遅れている。しかし、新たに第三のアプローチとして「単純接触効果」の面から視知覚の柔軟性を研究し始めた。
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