2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530667
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
日野 泰志 Waseda University, 文学学術院, 准教授 (00386567)
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Keywords | 仮名表記語 / 漢字表記語 / 形態隣接語 / 音韻隣接語 / 形態-音韻対応の一貫性 / 音韻-形態対応の一貫性 / 形態-意味対応の一貫性 / 音韻-意味対応の一貫性 |
Research Abstract |
語の意味符号化処理は形態-意味対応の性質に依存するのだろうか。本研究では2007年度に収集したデータをもとに仮名表記語と漢字表記語の形態-意味対応の一貫性を操作し,語彙判断課題とカテゴリー判断課題を使って形態-意味対応の一貫性効果の観察を試みた。まず,仮名・漢字表記語それぞれに形態-意味対応の一貫性が高い語と低い語を選択した。さらに,形態-意味対応の一貫性効果とあわせて出現頻度効果の有無を検討するために,仮名・漢字表記語それぞれに高頻度語と低頻度語も選択した。 これらの刺激を使って語彙判断課題を行ったところ,有意な出現頻度効果は観察されたものの,形態-意味対応の一貫性効果は認められなかった。しかし,語彙判断課題の成績はあまり意味符号化処理を反映しない可能性がある。そこで,次に,同じ刺激を使って生物カテゴリー及び野菜カテゴリーによるカテゴリー判断課題を行った。語のカテゴリー判断には,意味符号化が不可欠であり,語彙判断課題よりも強く意味符号化処理が反映されるはずである。したがって,意味符号化速度が語の形態-意味対応の一貫性に依存するなら,使用されるカテゴリーの種類に関係なくカテゴリー判断課題において一貫性効果が観察されるはずである。しかし,カテゴリーの種類に関係なく有意な出現頻度効果は観察されたものの,形態-意味対応の一貫性効果は観察されなかった。これらの結果から,語の意味符号化処理は,形態-意味対応の一貫性には依存しないものと思われる。
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