2009 Fiscal Year Annual Research Report
手話のわかりやすさを視覚シンボルの表現に採り入れるための認知心理学的研究
Project/Area Number |
19530669
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
井上 智義 Doshisha University, 社会学部, 教授 (40151617)
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Keywords | 言語 / コミュニケーション / 視覚シンボル / 誤解 / 手話言語 |
Research Abstract |
本研究では、視覚シンボルのデザインに一般的な手話の表現を取り入れ、視覚シンボルの理解度が高まるかどうかを実証的に検討した。手話表現をシンボルデザインに採り入れた視覚シンボルと、それとは異なるデザインを採用している視覚シンボルでは、それぞれの意味内容の理解度として、どの程度の差が生じるのかについて、一般の大学生を対象にして、理解度と記憶に関する実験を実施した。 その結果、いくつかの概念を示す手話の動画シンボルでは、他のデザインのアニメーションシンボルより、わかりやすいという評定値が得られたが、多くの概念については、コミュニケーション障害の領域でこれまで便用されていたアニメーションシンボルのほうがわかりやすいということが示された。すなわち、手話の要素を取り入れた動画シンボルが、そのことだけでわかりやすさを向上さすことにはならないことが示された。 ただ、応用的には、手話言語を使用するろう者を対象にする場合や、手話の学習そのものに活用するような可能性は十分あることが示唆された。そのため、手話言語を使用するろう者、および、手話言語の熟達者(健聴者)を対象に手話要素を採り入れた動画シンボルに関する聞き取り調査を実施した。その結果からは、手話表現の動画における示し方にいくつかの工夫が必要なこと、手話に方言がある場合に、複数の動画を用意する必要があることなどが明らかにされた。今回の動画シンボルは、NHKの手話講座などで使用されている標準的な手話を参考にしているものの、誤解のない円滑なコミュニケーションをするうえでは、複数のデザインの動画シンボルを提示する必要性があることが示されたものと言えよう。
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Research Products
(2 results)